ようこそ
生物物理グループへ

研究概要

生物物理グループは「磁場と生命」をテーマに研究に取り組んでいます。
磁場が生物行動に影響するというような考えは、生体を作る物質と磁場の相互作用エネルギーが非常に小さいこ とから根拠のない想像だと思われていた時代がありました。しかし、ある種の細菌の内部にナノメートルサイズの磁気微粒子が見つかり、これに地磁気が作用する結果生じるトルクが細菌の遊泳方向を変えることから、地磁気の力学的作用が一つのメカニズムであることが確立しました。一方40年位前から、電力線由来の低周波(50/60ヘルツ)磁場が健康に影響するなど、人工的に作り出した磁場が生体に影響することがわかり始めています。
わたしたちは磁場の生体影響―特に細胞レベルでの影響とその分子メカニズムに興味を持ち、その解明を目指して研究を行っています。以下に研究のあらましを、研究している人たちに解説してもらいます。


研究課題

細胞グループでは現在、低周波磁場による細胞への作用を様々な点に着目して研究しています。
mare nakamura yamada hasegawa kawashima

DNA損傷       文責:中山

naka細胞核内のDNAはタンパク質を合成する。このDNA構造の切断は生体に影響を与えうる。近年、低周波磁場によるDNA損傷誘導の可能性が示唆されているが一致した見解が得られていない。このため、磁場条件とDNA損傷の関連について研究を行う。


NO産生       文責:中村

nakamura免疫細胞であるマクロファージの一酸化窒素(NO)産生量に低周波磁場がどのように影響するか定量的な検討を行っています。さらにNO合成酵素の発現量や細胞増殖、細胞周期への効果にも注目して実験をしています。



フェリチンからの鉄イオン放出       文責:山田

yamadaフェリチンという鉄イオン貯蔵タンパク質を交流磁場(50~20kHz)下に置くことで、鉄イオンの放出量に変化があるのか調べています。先行研究で高周波磁場(250kHz~1MHz)によって鉄イオンの放出が抑制されるということがわかっており、それを元に低い周波数でどうなるのかを調べています。鉄イオン放出量の測定には鉄と配位結合して色が変わるキレート剤と吸光分光器を用いることで行っています。


HSP産生       文責:長谷川

hasegawa交流磁場曝露により細胞のヒートショックプロテイン、特にHSP70の発現性について調べています。電気泳動と、HSP70に結合する抗体を用いるウエスタンブロットを主に用いて実験をしています。


DNA高次構造変化       文責:川嶋

kawashima低周波磁場曝露によるプラスミドDNAの高次構造の変化について調べています。
プラスミドDNAの取っている高次構造が、磁場を曝露させると変化するのかを電気泳動を用いて調べています。高次構造が変化すると電気泳動における泳動度に差が出てくるので、それを用いて実験を行っています。


NO産生       文責:西墻

nishigaki様々な生理作用に関与するとされる一酸化窒素(NO)に着目し、免疫細胞・マクロファージのもつNO合成酵素に対して低周波磁場の及ぼす影響を調べています。
特に、NO合成酵素の純粋な(細胞内などで消費されない)NO産生に注目して実験を行っています。